2025.07.11
CITY THE ANIMATION
制作を振り返って ①

2025年7月6日「CITY THE ANIMATION」が放送開始されました。
放送開始されたばかりなのに「振り返って」という題目で文章を書いていることが寂しくもあるのですが、実際に制作としては終了していますので、放送は始まったばかりで視聴者の方にも同様に物悲しさを提供してしまうかもしれませんが、始まりがあれば必ず終わりもあると言う真理を踏まえながら、グッと堪えて制作を振り返りたいと思います。
「日常」(KADOKAWA)と言う作品で原作のあらゐけいいち先生とご一緒してから数年後、コミックの一巻が発売されたタイミング2017年に「CITY」(講談社「モーニング」所載)の存在を知りました。

「あ!あらゐ先生の新作だ!」と、迷う事なくコミックを手に取った私は足早にレジに向かいサクサクと会計を済ませ、家に帰って晩御飯を食べ就寝前の少し落ち着いた時間にページを開き、一巻見開きの洋食マカベのページでワクワクを禁じ得ないままに一気に読み終え、えもしれぬ多幸感に満たされた次第でした。
それから、新巻が出る度に買い求めずっと楽しく読ませて頂き、巻を追うごとに増していく面白さにこの作品もアニメーション化できたら楽しいだろうなと夢想するようになっていったのですが、すでに京都アニメーションで制作が予定されている作品や、その時々の状況によってアニメ企画というものは簡単に成立する訳でもないので、プロデューサーに軽く打診はしていたものの具体的に形にする事は現実的ではない感じでした。
目の前にある仕事に向き合う中、そこからしばらく「CITY」のことは頭から離れていたように思います。
しかし、3年ほど前の夏頃だったと思います。
自身としても京都アニメーションとしても、今後どういった作品を作っていくべきか。改めて色々と考えていた際に、世相を見ても暗い話題が多くを占め、未来に希望を見出しにくい。「楽しくない世の中」というイメージを持たれている方も多いのではないか。京都アニメーションのスタジオのスタッフたちを見てもそんな雰囲気が広がっている気がして。
ならば、そのイメージを「楽しい世の中」にひっくり返せた方が良い。
そんな作品が作りたいと考えていた際に「CITY」のことが改めて頭をよぎりました。
この作品なら、それにリーチできるのではないか。
見てくださった方も、制作する我々自身も「楽しい」という価値観を共有できるのではないかと考え、改めてプロデューサーに相談しました。
「あ、いいんじゃないっすか?」
プロデューサーからの返答は恐ろしく軽く、その刹那、講談社さんに確認する軽やかさでした。
軽すぎて、本当にわかってるのか?と疑った次第です。
プロデューサーは本当に意図を汲んでくれていたのか、その真偽は次回お伝えしたいと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
それではまた。