2025.07.23
CITY THE ANIMATION
制作を振り返って ③
「合宿」

構成合宿とは、その名の通りシリーズ全体を通してどう始まり、何があって、どう結ぶのか。という事を考え検討し、作品全体の流れ(構成)を形作る打ち合わせをするための合宿です。
今回の参加人員はいろいろなスタッフを含め10名強ほどだったと思います。
これを前回のあらゐ先生との顔合わせの会議から1ヶ月後ぐらいに実施しました。
その間にも、もちろん自分の方でも考えたり準備したりしつつ臨んだ打ち合わせでしたが、全13巻ある原作をどうアニメーションとして形作るのか、どうするのが「おもしろい」と「たのしい」につながるのか。
初日の打ち合わせは一進一退の進捗を繰り返し、夜もふけ、頭も回らなくなってきたところで翌日への繰越となりました。
ただこの日の打ち合わせで一つ気になることが。
打ち合わせが始まる前に講談社の方から、
「あらゐ先生から石立さんに、ご相談があるみたいですよ。内容は僕から言っても良いんですけど、直接お話ししたいみたいでした」
とお聞きしていたのですが、打ち合わせの中でも特に先生からお話がなかったので、「あれ?」とちょっと気になっていたのでした。
打ち合わせ後の自由時間。近くにあまりお店などが無い場所でしたので、プロデューサーが車で最寄りのコンビニに買い出しに連れて行ってくれる事となり、あらゐ先生も同乗して出発しました。
車中でもたわいない思い出話や近況報告をし、缶のビールやハイボール片手に買い出しを終え宿に戻りましたが、先生からのそれらしい話はありませんでした。
ちなみに、あらゐ先生と石立は同部屋とのこと。
マニアックな展開です。
ここでもあらゐ先生と積もる話をコンコンと繰り広げ、深夜にもなったところで先生からも「そろそろ寝ますか」と一言。
「そうですね」と布団に潜り込み電気を消し5分くらいでしょうか、しばらくしたところで、
「音楽かけて良いですか」と先生。
「あ、はい大丈夫です」と私。
その音楽を聴きながら「どうっすか?」と先生。
「めっちゃ良いっす」と私。
すると「やったー!まじか!」と大喜びの先生。
その後、今の音楽をきっかけにずっと相談したかったことを、話してくださいました。
「いまかい!」と心の中で呟きながら、二人で大いに盛り上がり、それからずっと笑っていました。
この時のネタが今作の一つの大きな山になることはその時から確信がありましたし、同時にものづくりってやっぱり面白いなぁとひしひしと感じられる良い思い出となりました。

翌日、隣の部屋に宿泊していた京都アニメーションのスタッフから「めちゃめちゃ笑い声がうるさかった」と言われました。
すみません。
続く。