2025.08.06
CITY THE ANIMATION
制作を振り返って ⑤
「塔」

シナリオが順次でき上がっていくと同時に、本編の制作も並行してスタートしていきました。そもそもの画面の見た目(ルック)にも拘りたかったので、スタッフみんなで試行錯誤を繰り返し検討重ねたのですが、当初から一番変わったのは背景かもしれません。ポップな印象を中心に美術監督が工夫してくれたのですが、結果的に直球のセルと見分けが付かないような背景に落ち着きました。
本編制作の上でセルの線の太さとの兼ね合いを調整する大変さはありましたが、最終的に良かったと感じています。

そんな折、#5のシナリオの打ち合わせにおいて、原作にある「塔」のエピソードをどうするかという議論が難航しておりました。
そこであらゐ先生から、京都アニメーションの各セクションメインスタッフの専門知識があれば、シナリオの打ち合わせメンバーでは出て来ない面白いアイデアが出るはず! という意見があり、普段はシナリオ打ち合わせに参加しない面々を呼んでアイデア出しをすることとなりました。
その甲斐あって#5の骨子になる部分は出来上がったのですが、その上でさらに担当の演出さんが愚直にコンテを描いたものですから、凄まじいみたことのないコンテが上がってしまいました。
- 1・メインの流れを追ったコンテ
- 2・ちっちゃいコマのサイドストーリーを追ったコンテ
- 3・ちっちゃすぎて描きにくいからという理由でコンテの紙自体が大きくなってしまったコンテ

それぞれがそれなりの枚数で、大変な分量のコンテで、読みづらさも凄かったですが、熱量がそれを凌駕しており圧倒されました。
作画の作業に入る前に、担当演出さんに「もちろんここから、力を抜くところは抜いてくださいね」とお願いしたのですが、演出さんは真っすぐに走り続け、そのまま作業に入っていきました。
そうして完成したのが#5でした。

テレビシリーズにおいてこんな大変な事をよくやったなと思いつつ、良い意味でもう2度と同じ事はしたくないなぁ、と感心した次第です。
続く。