2025.09.10
CITY THE ANIMATION
制作を振り返って ⑩
「おやじ」


「おやじサマー」いかがでしたでしょうか?
個人的に原作の中でもかなり好きなエピソードでしたので、担当の演出さんにも頑張ってください!とプッシュした記憶があります。
シナリオの打ち合わせ時にも奇跡が起きた思い出がありまして、それは京都アニメーションの文芸のスタッフが起こしてくれた奇跡でした。
そのスタッフが#10のシナリオを担当していたのですが、おやじサマーの原作のセリフを読む順番を素で間違えてしまった部分があります。
そして、それがそのまま本編に活かされているところです。
安達太良の父、鶴菱、編集長が大雨の中、海に向けてトンネルを抜けるために駆け出す部分です。

安達太良父 「待て〜!」
鶴菱 「抜けがけはズルいですぞ!」
編集長 「待てと言われて待つ人はいませんよ〜だ!」
これを、
いきなり編集長の「待てと言われて待つ人はいませんよ〜だ!」から始めてしまったのです。これを受けて、「まだ誰も待てなんて言ってませんぞー!」にセリフを変えました。
こちらの方が編集長の前のめり感が出ますし、どれだけ我慢できないんだよという印象が立つので素晴らしいと、満場一致でミスが活かされることとなりました。
ミスにこそ、チャンスがある。
これは日常の中においても言える事なのではないだろうか。と、この件を通じて改めて認識できました。ありがとうございます。
音響監督も本作においては、アフレコ用の台本に誤植があると「チャンスだ!」と喜んでおられました。
如何にもっと面白く出来るか。びっくりさせられるか。
本当に楽しくお仕事させていただけたこと、感謝しきれぬ思いです。
続く